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  • taiganji

R4.11月 坊守

安倍元首相が銃撃された事件から旧統一教会の問題が浮上し、政治と宗教の

関係がクローズアップされました。国会においてその事件に関わる政治家が次

々と現れ、政治の宗教利用、宗教の政治利用が表面化されました。

日本は、政治が宗教を利用することで大儀をもって国民を誘導し、とても悲

劇的な戦争を経験しました。さらに、戦争によりたくさんの若者が死に、その

若者を弔う国立墓地を作り、国家が追悼の儀礼をする。国家のために命をなげ

うった英雄に対して盛大なる儀式を行うことによって国威高揚ということをし

てきました。弔うという極めて宗教的な儀礼を国家が担うようになりました。

真宗大谷派は、戦争の色が濃くなる中で『御伝鈔』の一部の削除を決定。ま

た、法主闡如(せんにょ)が明治神宮、靖国神社、伊勢神宮を参拝。反戦を唱

えた僧侶・竹中彰元は逮捕され、禁固4か月、執行猶予3年の判決を受け真宗大

谷派は彰元の僧侶の位を最低に落とし、布教使資格を剥奪しました。国策追従

のために浄土真宗の教義を捻じ曲げ、率先して中国との戦争に協力する態度を

示していました。

旧統一教会と政治の問題を通して、宗教とは何か。今改めて私たち僧侶に突

き付けられています。

コロナ禍により外出やイベントが縮小され、お寺での法座や活動は自粛を余

儀なくされています。重ねて、葬儀の形態が変わり家族葬が多くなったことで

僧侶の人数が一人となりました。加えて月忌参りの減少は寺の法務収入を大き

く縮小させました。

世の在り方が変わり、人々の寺に対する急激な意識変化に不安を感じていま

す。寺の危機とは何か。法の危機なのか、経済の問題なのか。宗教と政治、宗

教と経済は結び付くものではなく、その立場を政治や経済に奪われるものでは

ありません。すべての僧侶に、教団に問われているのだと思います。苦からの

解放である仏教が真実であると、自分自身の身の上に証していかなければなら

ないと感じています。

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